AURA

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

今回はネタバレはなるべく回避して感想を書いてみました。
多少のネタバレは気にしない方は、未読の方もどうぞ。
田中ロミオさんが書いたラノベということで、気になって読んでみました。
感想は、ありきたりですが凄く面白かったです。
本人曰くラブコメみたいです。まあ確かにそんな感じかな。
全ての現中二病患者、及び元中二病患者に捧げる本。
前半は中二病感染履歴のある読者をばっさばっさとぶち殺し、後半はそんな現・元患者に一抹の希望を与える内容。
前半の中二的展開や、中二病なキャラクターの言動に悪い意味で鳥肌が立ち、過去の自分と対比して死にたくなります。
中盤もそんな「普通」なれなかった人たちが駆逐されている様子が描かれ、なんとも痛々しいものでした。

みんな努力して"普通"になった。努力を放棄した者、安易なヒロイズムに罹患した者に、救いなんてありはしない。駆逐されちまえばいい。

主人公自身、過去に自分がそうであったが故に、イマ「普通」でいられない人間に対しては一貫してこういう態度です。
それにしても、この言葉は胸に刺さります。ごめんなさいごめんなさいorz
面白いのが、主人公が最も嫌悪するであろう、自ら作った設定に完全に酔っている「痛い」子こそが、この小説のヒロインとなっています。
主人公が何度まともな会話を試みても、一方的な電波しか受け取ることができませんでした。
そして、様々な障壁もあって、主人公は彼女のことを半ば見捨てる形に。
まあ自分で守ろうとしない人のために、自分を犠牲にするなんてことはなかなかできないだろうし、正しくはないとしても主人公の行動には納得できます。
それをきっかけに動き出す、「あるべき世界」へ移動する彼女の計画。
屋上での彼女の心からの声、そして主人公の言動の熱さには感動しました。
ここは屈指の名シーンなので、引用したいという衝動を頑張って抑えました。
読んでない人は是非とも読もう。立ち読みじゃなくて買おう。
最後のオチは、まあご都合ですけど面白かったしそういう終わり方がこの作品には似合ってるなと思いました。
邪気眼使いや元中二病患者、或いは私のように現中二病患者にとっては古傷を抉られる痛みに悶えつつ、それも快感に変わるようななんともいえない一冊。
逆に言うとイマも昔もリア充って人には、ただの変わったラブコメにしか見えないかもしれませんね。
面白かったです。大事なことなので3回くらい言いました。
最後に。
リアルでは絶対にありえないのは、異世界でも魔女でも神殿でもなく、ただただ良子というヒロインの存在です。
ブコメからしょうがないんですが、「現実」と闘うには彼女が居ないとダメなんて、オタク殺しも良いところですよロミオさん。